
魚形鎧型壺 |
チャンカイ土器について
南アメリカ大陸の太平洋岸に沿って、南北7,500kmにもおよぶアンデス山脈のほぼ中央部、現在のペルー中部海岸のチャンカイ川流域でこの土器は生まれました。有名なインカ文明の興る前(プレ・インカ)、A.D.1100〜1450年代頃のことです。
チャンカイ土器は、白のスリップ(化粧土)をかけて淡い黒色で彩色したものと、これに朱色を加えたチャンカイ三色(トリコロール)とよばれる独特の彩色が特徴です。器形も変化に富んだものが多く、頸の部分に人面を配し、手と足を浮き彫り風にして、小さな杯を持って蹲る人物を暗示したような壺。また、両手を上げて正面を向くポーズの人形や、動植物を象ったものなどさまざまです。
これらの品々は実用品ではなく、葬送の際の副葬品であったと考えられています。アンデスの人々の死者に対する葬送儀礼は地域によって異なりますが、祭儀は高度に体系化され、死者に対して普遍的な配慮がなされていました。おおらかで素朴なこれらのチャンカイ土器も、霊魂の不滅を信じた人たちにより心をこめて作り上げられたものです。
普段あまり目にすることのないこれらの土器をつうじて、かつてのアンデスの人々の心に触れていただければ幸いです。
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猿の体内に鳥文様の
ある両耳壺 |

アギラ」彩色注口地
紋鳥形壺 |

戦士」の立てる丸形
地紋鎧型壺 |

鸚鵡」が肩にとまる
人形大壺 |

ジャガー」の付いた
注口地紋両耳大壺 |

顔を朱色に染めた
大人形クチミルコ |

ピューマ」の付いた
V文様両耳壺 |

あざらし」の付いた
双胴壺 |
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ユニークで生命力にあふれた
チャンカイ土器。
世界陶磁館2Fにて、特別展示
しております。 |
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